韓国の年俸から手取りまで(2026年):4大保険の料率、簡易税額表、フリーランス3.3%の精算

韓国の給与が手取りになる仕組みを2026年の公式資料で整理。国民年金9.5%、健康保険7.19%、長期療養0.9448%、雇用保険、年金の上下限、勤労所得簡易税額表、非課税の食事手当、3.3%源泉徴収と5月の総合所得税申告、最低賃金10,320ウォン。

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韓国の制度についての解説です。韓国企業と年俸契約を結んだとき、契約書の金額と毎月の振込額のあいだで引かれるものは二種類あります。社会保険料と税金です。社会保険料はその月の報酬に料率を掛ければ終わりですが、毎月の所得税は1年後に計算し直される仮の金額です。日本の源泉徴収と年末調整を知っている人なら、構造はかなり似ていると感じるはずです。

2026年の4大保険

韓国の会社員は国民年金・健康保険・長期療養保険・雇用保険の「4大保険」を納め、会社も同額を負担します。

項目 全体の料率 労働者負担 2025年との比較
国民年金 9.5% 4.75% 9% → 9.5%
健康保険 7.19% 3.595% 7.09% → 7.19%
長期療養保険 所得の0.9448% 0.4724%(健康保険料の約13.14%) 0.9182% → 0.9448%
雇用保険(失業給付) 1.8% 0.9% 変更なし

最大の変化は国民年金です。1998年から2025年まで9%のままでしたが、2025年の法改正で2026年から毎年0.5ポイントずつ上がり、2033年に13%になります。国民年金公団によれば、同じ改正で所得代替率は43%とされました。労使折半なので労働者の負担は8年間、毎年0.25ポイントずつ増えます。月の課税給与が400万ウォンなら、毎年1月に年金の天引きが約1万ウォン増える計算です。日本の厚生年金が18.3%で固定されたのとは逆向きの動きです。

長期療養保険は日本の介護保険に相当しますが、日本のように40歳以上に限らず全員が払います。所得に直接料率を掛けるのではなく、健康保険料に「0.9448÷7.19」(約13.14%)を掛けて求めます。

雇用保険については、雇用労働部が2027年から失業給付の料率を1.8%から2.0%に上げる政府案を報告したと報じられていますが、2026年9月時点では確定していません。

年金の上下限は7月に変わる

国民年金には保険料を計算する所得(基準所得月額)の上限と下限があり、毎年7月に改定されます。国民年金公団によると、2025年7月〜2026年6月は40万〜637万ウォン、2026年7月〜2027年6月は41万〜659万ウォンです。上限を超えると、月給が800万でも2,000万でも本人負担は659万×4.75%、約31万3千ウォンで止まります。

年は1月に変わるのに上限は7月に変わるため、高所得者の年金天引きは2026年に2回変わりました。1月に料率だけ9.5%に上がり、7月に上限が659万ウォンに上がったからです。健康保険にも上下限がありますが、2026年の金額を公式資料で確認できなかったため、ここでは書きません。

保険料は届け出た報酬で取られ、あとで精算される

保険料は会社が公団に届け出た報酬月額にもとづいて徴収され、あとで実際の報酬と突き合わせます。健康保険は毎年4月に前年の報酬総額で精算します。前年に大きく昇給した人は、4月の給与で精算分がまとめて引かれることがあります。4月の明細が計算と合わない理由の多くはこれです。

所得税:毎月の天引きは仮払い

会社は毎月、所得税法施行令別表2「勤労所得簡易税額表」で、月給と本人を含む控除対象家族数が交わる欄の金額を天引きします。この表は、その月給を1年間受け取り基本的な控除だけを受けた場合の税額を12で割ったものに近く、医療費やカード利用額、年金貯蓄などの控除は反映していません。

それらは翌年初めの「年末精算」で反映されます。会社が1年分の税額を計算し直し、天引き済みの額との差を2月か3月の給与で返すか追加で徴収します。日本の年末調整と違って医療費控除なども会社を通して処理されるため、韓国の会社員は他の所得がなければ個人で確定申告をすることはほとんどありません。

この仕組みから、いくつかのことが分かります。

  • 扶養家族を多く届けると毎月の手取りは増えますが、1年の税額は変わりません。共働き夫婦が同じ子を両方の会社で申告すると、片方が精算で払い戻すことになります。
  • 天引き率を選べる:簡易税額表の80%・100%・120%から選べます(施行令第194条)。精算時のまとめ払いを避けたい人は120%、毎月の現金が大事な人は80%を選びます。1年の税額は同じです。
  • 8歳以上20歳以下の子がいれば表の税額からさらに差し引きます。年末精算の子ども税額控除を先取りする仕組みです。
  • 地方所得税は所得税の10%が加わります。

旧正月や秋夕に賞与をまとめて払う会社では、その月は表の高い欄に入って税額が大きくなります。これも年末精算で1年分として調整されます。

非課税の食事手当20万ウォン

食事の提供を受けない労働者の月20万ウォン以下の食事手当は、所得税法第12条により非課税です。2023年1月から10万ウォンが20万ウォンに引き上げられました。非課税分は4大保険の報酬からも外れるので、同じ年俸でも食事手当を分けて定めておけば手取りが増えます。社員食堂や食券で食事を別に提供しながら手当も払う場合は非課税になりません。また給与規程や契約に支給基準が必要です。その分、国民年金の加入所得も減る点は覚えておくとよいでしょう。

フリーランスの3.3%と5月の申告

雇用契約なしに役務を提供して報酬を受ける人に支払うとき、支払う側は所得税3%と地方所得税0.3%を源泉徴収します(所得税法第129条)。「3.3%引かれて受け取る」という言い方はここから来ています。日本の報酬の源泉徴収(10.21%)より率は低いものの、性格は同じ前払いです。

翌年5月の総合所得税申告で、1年の事業所得から必要経費を引き、各種控除を適用して実際の税額を計算し、すでに引かれた3.3%と比べます。所得が少なく他の所得がなければ還付になることが多く、所得が大きい場合や給与所得と合算される場合は追加納付もあります。5月に申告しなければ還付も受けられません。

もっと大きな違いは社会保険です。3.3%契約者は職場加入者ではないので、会社が半分を負担する仕組みがありません。国民年金と健康保険は地域加入者として全額自己負担で、雇用保険は対象外か、芸術家・労務提供者向けの別制度になります。同じ月300万ウォンでも、「3.3%引きの300万」と「会社員の300万」は比べられる数字ではありません。

働き方は会社員なのに契約だけ3.3%になっている例もあります。労働者かどうかは契約書の名称ではなく、指揮命令を受けているか、勤務時間が決められているかといった実態で判断されます。労働者と認められれば週休手当や退職金の権利も付いてきます。

2026年最低賃金:時給10,320ウォンと209時間

2026年の最低賃金は時給10,320ウォンで、2025年の10,030ウォンから2.9%上がりました。最低賃金委員会が労使合意で決めたのは17年ぶりです。雇用労働部が示した月換算額は2,156,880ウォン(209時間基準)です。日本の地域別最低賃金と違い、韓国は全国一律です。

209時間は、週40時間に有給の週休8時間を足した48時間に、月平均週数4.345(365÷7÷12)を掛けて丸めた値です。週休分を除くと週40時間の月給は約179万ウォンなので、月給ベースの最低賃金の約6分の1は週休手当です。

週休手当は勤労基準法第55条によるもので、1週の所定労働日を皆勤すると週1日以上の有給休日を与えなければなりません。ただし第18条第3項により、4週平均で週の所定労働時間が15時間未満の労働者には適用されません。アルバイト契約がちょうど週14時間になっていることが多いのはこのためです。短時間労働者の週休時間は「週所定労働時間÷40×8」で比例計算するのが一般的です。

最低賃金を満たしているかは基本給だけでは判断できません。最低賃金法上、毎月定期的に払う手当の一部は比較対象に入り、残業や深夜の割増賃金などは入りません。

年俸が上がると手取り率はどう下がるか

2026年の料率、食事手当20万ウォン非課税、扶養1人(本人)、12か月均等払いで計算した値です。

年俸 月給 月の手取り 手取り率
3,000万ウォン 2,500,000 2,244,424 約89.8%
4,000万ウォン 3,333,333 2,935,774 約88.1%
6,000万ウォン 5,000,000 4,195,404 約83.9%
1億ウォン 8,333,333 6,530,903 約78.4%

年金の上限までは4大保険が課税給与の約9.7%でほぼ比例するので、手取り率はあまり動きません。下げているのは累進の所得税です。月の所得税は年俸3,000万で29,160ウォン、1億で986,720ウォンと、給与3.3倍に対して30倍以上になります。1億の水準では年金が上限で止まるため、4大保険の比重はむしろ下がります。

会社が別に払っているもの

会社は国民年金・健康保険・長期療養・雇用保険(失業給付)を労働者と同額負担し、さらに雇用安定・職業能力開発事業の保険料、労災保険料、1年以上勤務した人の退職金を負担します。年俸4,000万ウォンの社員の人件費は4,000万よりかなり大きく、同じ金額でも3.3%契約を好む会社がある背景になっています。

明細と計算が合わないとき

  1. 1〜6月か7〜12月か:国民年金の上下限が違います。
  2. 4月か:健康保険の精算分が入っている可能性があります。
  3. 賞与が出た月か。
  4. 扶養家族・子の数、天引き率(80・100・120%)を会社にどう届けたか。
  5. 食事手当以外の非課税項目(自家運転補助金、育児手当など)があるか。

これらを除けば、韓国の年俸から手取りへの計算は料率の掛け算と表の参照だけです。数字を入れて確かめるなら韓国の給与手取り計算機を使えます。時給・週休手当のモードと、3.3%フリーランスの税込額を逆算するモードも入っています。

出典