核分裂の連鎖反応ベータ

中性子を一発撃って臨界質量の境目を自分で探す

このツールはまだ安定化中のベータ版です。結果に違和感があればお知らせください。

シナリオ

掘り出したままのウランは 99.3% が U-238 です。どれだけ大きく積んでも連鎖反応は続くでしょうか。濃縮度と減速材を変えて方法を探しましょう。

シミュレーションエンジン(WebAssembly)を読み込み中…

速い中性子 熱中性子 遅発中性子

残り時間
–
目標
–
中性子
0
出力
0%
増倍率 k
–
累積核分裂
0
炉心外へ漏れた数
0
吸収
0
出力の記録 (直近 30 秒)

単純モデルは、減速材と1回ぶつかるたびに40%の確率でいきなり熱中性子になるゲーム用の簡略化です。実際には何度も(水なら約18回)ぶつかってやっと遅くなり、その間にU-238 に捕まる機会が増えます。現実的モデルでは天然ウラン+減速材では臨界にならず、低濃縮が必要です。

炉心を押すとその場所に中性子が入ります

中性子が U-235 の原子核に当たると核が割れ、中性子が2〜3個飛び出します。それがまた別の核に当たれば連鎖反応です。ある世代が次の世代に残す中性子の数を増倍率 k といい、1 より小さければ火種は消え、1 より大きければ指数関数的に増えます。炉心の大きさ(漏れ)、濃縮度(U-235 の割合)、減速材(中性子を遅く)、反射体(漏れを戻す)、制御棒(中性子を吸う)の五つは、すべてこの k 一つを押し引きします。キャンバスを押して中性子を撃ち込み、各シナリオの目標に挑戦してみてください。

核分裂の連鎖反応について

このシミュレーションは、中性子を一つずつ点として追いかける二次元モンテカルロ計算です。炉心は画面中央の円板で、中性子はまっすぐ飛び、確率に従って核分裂・吸収・散乱のどれかを起こします。核分裂1回で出る中性子は2個か3個(平均2.5個)。円板の外に出た中性子は反射体の値の確率で戻り、それ以外は漏れとして消えます。

断面積は実際のバーン値ではなく画面のピクセル単位に合わせていますが、速い中性子は U-238 に捕まりやすく、減速した熱中性子は U-235 をよく割る、という比の関係は残しています。そのため天然ウランは減速材なしでは消え、減速材を入れると続くようになります。

k という一つの数ですべてが決まる

増倍率 k は、ある世代の中性子が次の世代に残す中性子の数です。U-235 の熱中性子核分裂では平均約2.43個が出る(NRC 資料)ので、そのうち約41%が次の核分裂につながれば k = 1 になります。残りの59%は漏れても、U-238 や制御棒に吸われてもかまいません。このツールは平均2.5個なので、境目は40%です。

k のわずかな差は世代を重ねると大きく開きます。中性子1個から k = 1.1 で100世代進むと約1万4千個、k = 0.9 なら0.00003個、つまり実質ゼロです。画面の k は、直近の区間で生まれた数を消えた数(核分裂・吸収・漏れ)で割った推定値なので、中性子が少ないうちは大きく揺れます。遅発中性子は核分裂の瞬間ではなく、待ちが終わって放出される瞬間に「生まれた」と数えます。そのため k が1付近なら動いている中性子の数も実際に横ばいで、制御棒を深く入れて核分裂が減った後も、待機中の遅発中性子が放出されている間は k がすぐ0には落ちません。

五つのスライダーが k を動かす仕組み

炉心の大きさは漏れを左右します。円板が小さいと面積に対して縁が長く、中性子は次の核に出会う前に外へ抜けます。このモデルでは、高濃縮・反射体なしの裸の炉心の臨界半径は最大サイズの約40%です。「臨界質量」シナリオは22%から始まるので、そのままでは消えます。

反射体は大きさを変えずに漏れだけを減らします。燃料加工施設の臨界安全管理で水やコンクリート、人の体まで考慮するのは、どれも中性子を跳ね返しうるからです。

減速材は速い中性子を熱中性子に変えます。このツールでは減速材との散乱1回で40%の確率で即座に熱中性子になりますが、実際の黒鉛では百回前後の衝突が必要です。「減速モデル」を現実的に切り替えると、減速材と5回ぶつかってはじめて熱中性子になり、その衝突のたびにU-238 に捕まる機会があります。このモードでは天然ウラン+減速材は臨界に届かずゆっくり消え、濃縮度を3%ほどに上げてやっと連鎖反応が続きます。軽水炉が低濃縮燃料を使うのと同じ結論です。制御棒は上から下りてくる6本の帯で、中に入った中性子はエネルギーに関係なくほぼ確実に吸収されます。

遅発中性子 ― 原子炉を人の手で操れる理由

核分裂中性子の99.3%以上はほぼ瞬時に出ますが、約0.65〜0.7%は核分裂生成物の崩壊に伴って遅れて出ます。NRC の教材は、即発中性子の寿命を約10⁻⁴秒、遅発中性子を約13秒とし、加重平均した1世代の時間を約0.1秒としています。この約千倍の差が制御を可能にしています。

k = 1.001 のとき、即発中性子だけなら周期は 10⁻⁴ ÷ 0.001 = 0.1秒で、1秒後には約2万2千倍です。1世代0.1秒なら周期は100秒で、1分後でも約1.8倍にとどまります。超過分が β(約0.007)に達すると即発中性子だけで臨界になる「即発臨界」となり、この緩衝はなくなります。

このツールでは遅発中性子の割合を25%、平均遅れを3秒にしています。実際の0.65%では人の操作が追いつかないからです。「原子炉」シナリオで制御棒を動かしても出力が数秒遅れてついてくるのはこのためで、炉心の中で止まっている点がまだ出ていない遅発中性子です。

シカゴ・パイル1号(1942年12月2日)

シカゴ大学スタッグ・フィールド西スタンド下のスカッシュコートで、フェルミのチームは黒鉛ブロックの間に天然ウラン金属と酸化ウランの塊を格子状に並べたパイルを臨界にしました。米エネルギー省(DOE)の記録によると、午後3時25分にジョージ・ワイルがカドミウム制御棒を引き抜き、28分後の3時53分、フェルミの指示で非常用の棒「ジップ」が戻されて反応は止まりました。制御棒が故障した場合に備え、パイルの上ではカドミウム塩溶液を注ぐ班が待機していました。

同じ日の午前、フェルミは制御棒を1フィートずつ抜きながら「記録計のペンはここまで上がって止まる」と予測し、そのとおりになりました。未臨界では中性子源が入れ続ける中性子が 1/(1−k) 倍に増えたところで落ち着きます。k = 0.95 なら20倍、0.99 なら100倍です。棒を抜くたびに止まる高さが上がり、1を超えた瞬間に止まらなくなります。このツールの天然ウランシナリオで減速材を上げると同じ流れが見られます。

このシミュレーションが省いているもの

  • 二次元の円板です。三次元の球とは表面積と体積の関係が違うので、臨界サイズを実物に換算することはできません。
  • 燃料と減速材が均一に混ざったモデルで、シカゴ・パイル1号のようにウランを塊で配置する格子の効果はありません。
  • 温度上昇による反応度の低下、キセノンなどの毒物質、燃料の燃焼がありません。軽水炉の出力を安定させている主な要因です。
  • 「炉心溶融」は中性子2万個の上限を超えたというゲーム上の判定で、熱や冷却は計算していません。

例

k = 1.1 と 0.9 の差

入力
中性子1個、100世代
結果
約13,780個 / 約0.00003個

1.1¹⁰⁰ = e^(100 × 0.0953) ≈ 13,780、0.9¹⁰⁰ ≈ 2.7 × 10⁻⁵。k が1から0.1ずれるだけで、結果は9桁近く離れます。

遅発中性子のある・なし

入力
k = 1.001、世代時間 10⁻⁴秒 と 0.1秒
結果
1秒後 約22,000倍 / 1分後 約1.8倍

周期 T = 世代時間 ÷ (k − 1) で、0.1秒と100秒。e¹⁰ ≈ 22,026、e^0.6 ≈ 1.82。

ツールの遅発中性子はどれだけ誇張されているか

入力
ツール β = 0.25、実際の U-235 β ≈ 0.0065
結果
約38倍

0.25 ÷ 0.0065 ≈ 38。平均の遅れも約13秒ではなく3秒です。ゲームとして操作できるよう、遅い成分を大きくしています。

使い方

  1. 「臨界質量」シナリオでキャンバスを押して中性子を入れ、多くが縁から漏れていく様子を見ます。
  2. 炉心の大きさか反射体を上げ、k の表示が1を超えて落ち着くところを探します。
  3. 「原子炉」シナリオでは制御棒を少しだけ動かし、数秒待ってから次の操作をします。

よくある質問

k = 1 は反応が止まっているということですか?

いいえ。中性子の数が一定に保たれている状態です。運転中の原子炉はほとんどの時間を k = 1 付近で過ごし、出力を上げるときだけ少し上回ってから戻します。

天然ウランで原子炉は動きますか?

黒鉛や重水のように中性子をあまり吸わない減速材を使えば可能です。シカゴ・パイル1号は黒鉛と天然ウランで臨界に達しました。日本の商業炉と同じ軽水炉は、U-235 を3〜5%に濃縮した燃料を使います(NRC)。

原子炉は原爆のように爆発しますか?

商業炉の燃料の濃縮度は3〜5%程度で、制御は即発臨界より下で遅発中性子に頼って行われます。このツールで90%濃縮の大きな裸の炉心が暴走する様子は兵器側の条件に近いものの、実際の兵器設計を再現したものではありません。

画面の k の値がずっと揺れるのはなぜですか?

短い区間の誕生数と消滅数を数えて割っているからです。中性子が数十個しかないと、偶然の核分裂数回で大きく動きます。数百個以上あるときの値を見てください。

出典

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