砂山モデルベータ

砂粒を積んで崩れる雪崩からべき乗則とフラクタル模様を観察

このツールはまだ安定化中のベータ版です。結果に違和感があればお知らせください。

砂時計の下の部屋のように、乾いた砂が1点に1粒ずつ落ちます。山は一定の傾き(安息角、乾いた砂で約35°)まで育ち、その後は1粒がそのまま止まることもあれば、何百粒も引きずり落とす雪崩を起こすこともあります。

目標 粒が200回以上すべる大雪崩を一度見届けましょう。どさっと注ぐ・つつくも試してみて。

開始前に道具で備えておけます。準備ができたら ▶ 注ぎ始める。

シミュレーションを読み込み中…

注いだ粒
雪崩の大きさの分布横: 雪崩の大きさ(すべった回数) · 縦: 起こる頻度 · 両対数
直前
最近の雪崩 (棒の高さ = 大きさ)
なぜ大小さまざまな雪崩が起きる? — 自己組織化臨界

① 粒を注ぐほど斜面は急になります。

② ある場所の傾きが耐えられる限界(安息角)を超えると粒がすべり落ち、その粒が隣の斜面も限界を超えさせると連鎖 = 雪崩になります。

③ 雪崩が斜面を削り、また積もり… 誰も調整しなくても、砂山はいつも「崩れる寸前」の状態に自ら戻ります。これが自己組織化臨界です。

④ だから次の1粒がそのまま止まるのか、斜面全体を崩すのかは予測できません。小さな雪崩はとても多く大きな雪崩はまれですが、その頻度は両対数グラフで直線(べき乗則)になります。地震・地すべり・山火事・停電にも同じ形が現れます。

砂山モデルについて

このツールは砂山を横から見た1次元の模型です。床が列に分かれていて、列ごとの粒の数が高さになります。ある列と隣の列の高さの差(傾き)がしきい値を超えると粒が1つ低い側へ滑り、その粒が隣の傾きもしきい値を超えさせると連鎖が続きます。この連鎖全体が1回のなだれで、その大きさは粒が滑った回数で数えます。

しきい値は「基本しきい値」に0か1をランダムに足した値で、その列から粒が滑るたびに引き直されます。初期設定(基本1、ばらつき0.5)ではしきい値が半々の確率で1か2になり、1996年にオスロ大学の研究者が米粒の山の実験を説明するためにつくった「オスロ模型」と同じ規則です。ただしオスロ模型では粒が一方向にしか流れませんが、このツールではより急な側へ流れ、両端を開けるか壁にするかを選べます。

バク・タン・ヴィーゼンフェルド(1987)の砂山

自己組織化臨界(SOC)という言葉は、1987年のパー・バク、チャオ・タン、カート・ヴィーゼンフェルドの論文から生まれました。格子に粒を1つずつ落とし、あるマスにたまった量が限界を超えたら隣へ配る、という単純なセル・オートマトンです。誰もパラメータを調整しなくても系はさまざまな大きさのなだれが起こる臨界状態へ自ら向かい、なだれの大きさの分布は典型的な規模を持たないべき乗則に従う、というのが主張の核心でした。論文題名のとおり、もともとの目的は自然界に広く見られる1/f ゆらぎの説明です。

物理学の臨界現象は、ふつう温度などを特定の値にぴったり合わせないと現れません。砂山が面白いのは、ゆっくり粒を注ぐだけで系がその点にとどまることです。傾きがゆるければ粒がたまって急になり、急すぎればなだれが削ります。

本物の砂ではうまくいかず、米ではうまくいった理由

実際の砂山で SOC を確かめようとした実験は、多くが期待どおりのべき乗則を示しませんでした。1996年、フレッテらは2枚のガラス板のすき間に米粒を1粒ずつ落としてなだれを測り、細長い米ではべき乗則が見られ、丸みのある米では見られないことを示しました。細長い粒は引っかかり方が毎回違うので、保てる傾きが変わり続けます。

この実験をまねるために同じグループが導入したのがオスロ模型です。しきい値を固定せず、崩れるたびに1か2を引き直します。報告されたなだれの大きさの指数は約1.55(±0.10)でした。このツールで「ばらつき」を0にすると全粒が同じしきい値になり、山は規則的なのこぎり形になります。そのときの分布の崩れ方を比べると、ランダムさがなぜ必要なのかが見えます。

両対数グラフの読み方

グラフの点1つは、[1, 2)、[2, 4)、[4, 8) のように幅が倍々に広がる区間1つです。区間の幅が違うので、ツールは数えた件数を区間幅で割った「密度」を描きます。そのため点線の傾きがそのままべき指数 −τ の推定値になります。区間ごとの件数をそのまま描いていたら、傾きは −(τ − 1) になり、ずっとゆるく見えたはずです。

右端で点がばらついたり落ち込んだりするのは正常です。列の数が有限なので山全体より大きいなだれは起こらず(有限サイズの打ち切り)、大きな区間には数件しか入りません。傾きを信用するには数百〜数千回のなだれが必要で、「米粒の山の実験」の目標が1000回なのはそのためです。

画面の「安息角」は、このモデルを長く回して測った定常状態の傾きから計算した値です。初期設定ではしきい値の平均は1.5ですが、山が落ち着く傾きは約1.71とそれより急です。しきい値が低く(1)引かれた列はすぐ崩れて引き直され、高く(2)引かれた列が斜面を長く支えるためです(オスロ模型の既知の性質で、大きな山では約1.73)。粒の高さを列幅の0.5倍としているので arctan(1.71 × 0.5) ≈ 40.5° と表示されます。100列の斜面に12万粒を注ぐと平均の傾きはこの値と一致し、平均しきい値から出す37°より3〜4度急です。画面の「傾き」はその瞬間の山を測った値なので、なだれの直前・直後に1〜2度上下します。

シナリオごとに試していること

「砂時計」は1点に1粒ずつ落とし、200回以上滑る大きななだれを待つ設定です。「雪の積もった斜面」と「工事現場の砂置き場」は逆に、道路へあふれる量を減らすのが目標です。柵(床を上げた列)は上の斜面を支え、水をまいた列はしきい値が上がって急な面を保ちます。湿った砂で砂の城が作れるのと同じ理屈です。

「つつく」は半径内のしきい値を一時的に0にして、たまった粒を強制的に流します。大きな雪崩が育つ前に小さな雪崩を人工的に起こしておく、山岳道路の予防措置と同じ発想です。

例

傾き −1.55 が実際に意味すること

入力
τ = 1.55、大きさ 8〜15 の区間と 128〜255 の区間を比較(16倍)
結果
密度の比 16^−1.55 ≈ 1/73、区間ごとの件数の比 16^−0.55 ≈ 1/4.6

大きさ8〜15のなだれが460回記録されたなら、128〜255は約100回です。「まれ」な大事件が直感よりずっと頻繁に来る、というのがべき乗則の実際の意味です。区間幅が16倍広いので、件数の差は密度の差よりずっと小さくなります。

初期設定の安息角表示

入力
基本しきい値1、ばらつき0.5
結果
定常の傾き1.71(平均しきい値1.5より急)→ arctan(1.71 × 0.5) = arctan(0.855) ≈ 40.5°

基本しきい値を2にすると定常の傾きは2.71で arctan(1.355) ≈ 53.6°。しきい値1の差が傾きでは約13度になります。

使い方

  1. シナリオを選び、必要なら開始前に柵・水・注ぐ位置を決める。
  2. ▶ 注ぎ始めるを押し、なだれの大きさと両対数グラフを見る。
  3. 「自由実験」でばらつきと基本しきい値を変え、分布を比べる。

主な用語

自己組織化臨界
外からパラメータを合わせなくても系が自ら臨界状態にとどまり、事象の大きさがべき乗則に従う性質。
なだれの大きさ
このツールでは、1粒落としてから山が止まるまでに粒が滑った総回数。
指数 τ
大きさ s のなだれの頻度が s^−τ に比例するときの τ。両対数の密度グラフの傾きの絶対値。
オスロ模型
崩れるたびに各地点のしきい値を1か2にランダムに引き直す1次元の米粒山モデル(Christensen ら、1996)。

よくある質問

地震や山火事も本当に砂山と同じなのですか?

地震の規模分布(グーテンベルク–リヒター則)や山火事の焼失面積もべき乗則に近い形を示すため、SOC とよく比較されます。ただしべき乗則が見えるだけでは同じ仕組みの証拠にならず、各分野で議論が続いています。

傾きが −1.3 や −1.8 になります。

なだれの数が少ないと傾きは大きく揺れ、有限の山では大きななだれが打ち切られます。数千回集めるとオスロ模型の報告値1.55付近に近づく傾向が見られます。このツールは粒が両方向に流れる変形版なので、完全に一致するとは限りません。

次の大きななだれを予測できますか?

この模型ではできません。山全体が崩れる寸前の状態にあり、同じ1粒がそのまま止まることも大きななだれを起こすこともあります。安定して分かるのは統計的な分布だけです。

ばらつきを0にするとどうなりますか?

全列のしきい値が同じになり、山は規則的な階段状の斜面になって、粒が斜面を一列に押し出されるような規則的ななだれになります。しきい値が固定された1次元の砂山はべき乗則を示さない、というのがランダムなしきい値を導入した理由です。

出典

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