振り子の波ベータ

長さの違う振り子がヘビのような波を描き、再びそろう様子を観察

このツールはまだ安定化中のベータ版です。結果に違和感があればお知らせください。

ハーバード大学の講義実演装置を再現しました。おもり15個、60秒の間に最も長い振り子が51回、最も短い振り子が65回往復します。カメラマンになって模様が一番くっきりする瞬間を撮りましょう。

目標 フィルム6枚で二列・三列・一列の再整列を全部撮る

空いた所をドラッグで回転 · おもりをドラッグで引いて放す

おもりを全部引いてあります — ▶ 放す

シミュレーションを読み込み中…

模様タイムライン

目盛りは模様が現れる瞬間(T·p/q)。線はそろい具合(1 = 一列)。目盛りを押すとその瞬間へ移動します。

なぜこの模様ができるの?
Tᵢ = T / (k + i)Lᵢ = g · (Tᵢ / 2π)²Δφ(隣) = 2π · t / T

振り子の周期は長さの平方根に比例します。この装置は、T 秒の間に最も長い振り子がちょうど k 回、次が k+1 回…往復するよう長さを一本ずつ合わせてあります。

隣どうしは T の間にちょうど 1 回ずれるので、位相差は時間に比例して 2π·t/T ずつ開きます。はじめは差が小さくなめらかな波(ヘビ)になり、t = T/2 では隣と半周ずれて偶数番と奇数番が左右に分かれた二列、t = T/3 では三列になります。

一般に t = T·p/q ではすべての振り子が q 個の位相に集まり q 列になり、その間はばらばらに見えます。t = T では全員が整数回の往復を終え、最初の一列に戻ります。わずかに違う音のうなりと同じ現象です。

実際の振り子は sin θ のため大きく振れるほど周期が少し延び(非線形)、空気抵抗で揺れが減ります。このシミュレーターはそれも計算しています。

振り子の波について

振り子の波はカオスの正反対にある装置です。振り子どうしはつながっておらず、それぞれ決まった周期で揺れるだけ。それなのにヘビのようにうねる波、二列・三列に分かれる模様、ばらばらに見える瞬間が順に現れ、正確な時刻にまた一列にそろいます。すべての模様を前もって計算できるのがこの装置の面白さです。

このツールは各振り子を θ'' = −(g/L)·sinθ − c·θ' で個別に積分します(2ms以下刻みの RK4)。sinθ を θ に置き換える小角近似を使わないので、大きく振ると実際の振り子と同じく周期が延びます。ハーバード大学の講義実演の解説によれば、同大の装置はメリーランド大学の Richard Berg が発表した設計に基づき、原型は1867年ごろにエルンスト・マッハが作った装置です。

長さの決め方

再整列時間 T の間に、最も長い振り子が k 回、次が k+1 回…往復するようにします。ハーバードの装置は15本、T = 60秒、k = 51 なので、最も短い振り子は65回往復します。i 番目の周期は T/(k+i) で、単振り子の公式 P = 2π√(L/g) を逆に解くと L = g·(P/2π)² です。

g = 9.81 で、51回の振り子は P = 1.176秒、L = 34.39cm、65回の振り子は P = 0.923秒、L = 21.17cm。15本が13cmほどの範囲に収まります。「振幅補正」をオンにすると実際の振幅での正確な周期で長さを合わせ直し、10°では51回の振り子が34.26cmと1.3mm短くなります。

模様が現れる時刻:T·p/q

時刻 t における隣り合う2本の位相差は 2π·t/T で、どの隣どうしでも同じです。t = T/2 なら位相差は半周なので、1本おきに両端に集まって二列になります。T/3 と 2T/3 では三列。一般に p/q が既約分数のとき、t = T·p/q ではすべての振り子が q 個の位相のどれかに集まり q 列になります。ハーバードの設定なら二列は30秒、三列は20秒と40秒、四列は15秒と45秒です。

模様の合間に見えるヘビのような波は、位相差が小さいとき(t が0や T の近く)に現れます。位相が振り子の番号に沿って少しずつ増えるので、横から見ると波長の長いサインカーブになります。q の大きな時刻では列が多すぎて、ばらばらに見えます。ツールの模様タイムラインと位相時計は、この計算をそのまま表示しています。

大きく引くと何がずれるか

振幅 θ₀ での本当の周期は T₀ / AGM(1, cos(θ₀/2))(AGM は算術幾何平均)。小角近似より10°で0.19%、35°で2.38%、60°で7.3%長くなります。「大きく引いたら?」の35°・補正なしを同じ方程式で計算すると、60秒の時点で15本は14°から−35°までばらけています。

面白いのは、全員を同じ振幅で放したなら全員が同じ割合(2.38%)だけ遅れることです。だから模様は壊れず、遅れて来るだけ。計算すると 60 × 1.0238 = 61.43秒に15本がぴったり35°にそろいます。60秒で列が乱れて見えるのは、同じ割合でも往復回数の多い振り子ほど多く遅れるからです。51回の振り子は1.2往復、65回の振り子は1.5往復分遅れ、その差が60秒の瞬間の姿を変えます。補正した長さなら60秒ちょうどに再整列します。

調律師:1mmがなぜ効くのか

周期は長さの平方根に比例するので、長さの相対誤差は周期では半分になります。真ん中の振り子(58回、L = 26.59cm)の長さが1mmずれると周期は0.19%ずれます。小さく見えても60秒で58回積み重なると0.11往復、位相で約39°のずれになり、列を見ればはっきり分かります。調律シナリオはランダムに選んだ3本を、60秒で0.25〜0.45回多く(または少なく)往復するように狂わせてあります。音で探すなら、中心を通るたびに鳴る音がほかのリズムから外れていく振り子を聞き分けます。

ほかの惑星で

すべての周期が 1/√g に比例して同じ割合で変わるので、地球で合わせた装置をよその惑星に持っていっても模様の順番と形は同じで、時間だけが伸び縮みします。再整列時間は 60 × √(9.81/g)。月(1.62)で147.6秒、火星(3.71)で97.6秒、木星(24.79)で37.7秒です。

このシミュレーションが省いていること

振り子は完全に独立しています。実際の装置では共通の枠がわずかに揺れ、振り子どうしでエネルギーをやりとりすることがあります。標準の空気抵抗は速度に比例する線形の項ひとつで、全員に同じ係数(初期値0.004/s)が入ります。この場合、振幅は全員同じく e^{−ct/2} で減り(60秒後に10° → 約8.9°)、比率は保たれます。実際にはおもりの速さや糸の長さで抵抗が違うため振幅の減り方が振り子ごとに異なり、前節の振幅による周期の変化のせいで長時間では模様が少しずつぼやけます。自由実験の「軽いおもり: 速さ²の空気抵抗」をオンにするとこれを確かめられます。角加速度に −κ·L·|θ'|·θ'(κ = 0.15/m)が加わり、おもりが速く動く長い振り子ほど早く弱まります。12°で放すと60秒後に最も長い振り子は約4.5°、最も短い振り子は約5.1°になり、振幅比は1から約0.87へずれます。おもりは質点、糸は伸びません。

例

ハーバード装置の長さ

入力
振り子15本、T = 60秒、k = 51、g = 9.81
結果
最長34.39cm(51回)、最短21.17cm(65回)

L = 9.81 × (60/51 ÷ 2π)² = 0.3439m。10°の振幅補正で34.26cm。

35°で振ったときの再整列

入力
補正なしの長さ、振幅35°、空気抵抗0
結果
再整列 60秒 → 61.43秒

周期が全員2.38%延びる。60秒では列が散っているが、61.43秒に全員35°にそろう。

月での再整列

入力
地球で T = 60秒に合わせた装置、g = 1.62
結果
60 × √(9.81/1.62) = 147.6秒

模様の順番は同じで、すべての時刻が2.46倍になる。

使い方

  1. シナリオ(ハーバードの実演を撮影・大きく引いたら?・調律師・ほかの惑星で・自由実験)を選ぶ。
  2. 模様タイムラインで次の二列・三列の時刻を確かめ、その瞬間を待つ。
  3. 自由実験で振り子の数・T・往復回数・振幅・空気抵抗・惑星を変え、振幅補正のオン・オフを比べる。

よくある質問

振り子どうしは影響し合いますか?

いいえ。それぞれ独立に揺れています。波に見えるのは位相が番号に比例して開くからで、エネルギーが横へ伝わる本物の波ではありません。

なぜ60秒ごとにぴったり一列になるのですか?

60秒間に全員が整数回(51〜65回)往復するように長さを合わせてあるからです。60秒後、全員が同時に出発位置に戻ります。

振幅が大きいと模様は壊れますか?

全員同じ振幅で放し抵抗がなければ、模様は壊れず少し遅れて来ます(35°で60秒 → 61.43秒)。本当にぼやけるのは、振り子ごとに振幅の減り方が違う場合です。

振り子を30本にすると何が変わりますか?

模様の時刻は同じですが、1列に並ぶおもりが増えて模様がくっきりし、波の曲線もなめらかになります。そのぶん最も短い振り子はさらに短くなります。

出典

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