ゴルトンボードベータ
数千個のボールが積もって正規分布ができるゴルトンボード
このツールはまだ安定化中のベータ版です。結果に違和感があればお知らせください。
- 落ちたボール
- 0
- 平均の箱
- – 理論 –
- 分散
- – 理論 –
- カイ二乗
- – df –
ボールは上の中央から落ち、各段でピンに当たって左右に跳ねます。段ごとの左右をコイン投げで決めることはしません。行き先は、ごくわずかな投入位置の違い、ピンの上で止まらないよう接触のたびに加えるごく小さなランダムな横向きの力、そしてその差を増幅する衝突のカオスで決まります。n段を通り抜けたボールがk番目の箱に入る確率は二項分布 C(n,k)/2ⁿ に近く、ボールが増えるほど積もった形は釣鐘型の正規分布(平均 n/2、分散 n/4)に近づきます。線はこれまでに落ちたボール数から求めた理論上の高さです。キャンバスを押したりドラッグしたりすると、その位置からボールを追加で落とせます(両端の箱はあふれたボール用)。
処理中…
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ゴルトンボードについて
ゴルトンボードは、互い違いに打たれたピンの間に球を落とし、下の枠にためる装置だ。球は段ごとにピンに当たって左か右にそれ、n段を通ると右に行った回数kに応じてk番目の枠に入る。各段の選択が五分五分で独立なら、k番目の枠に入る確率は二項分布C(n,k)/2ⁿになる。フランシス・ゴルトンは1889年の『Natural Inheritance』でこの装置(クインカンクス)を図入りで説明し、小さな偶然が何度も足し合わされると釣鐘形になることを示した。
このシミュレーションはコインを投げない。球は重力とピンとの衝突を計算する物理エンジンで動き、左右は投入位置のわずかな差、ピンに触れるたびに加わるごく小さなランダムな横向きの力、そして衝突のカオスで決まる。だから理論の二項分布と比べること自体が実験になる。本当に五分五分か、段ごとに独立かを結果で確かめるわけだ。
二項分布から正規分布へ
n段を通った球の枠番号kは平均n/2、分散n/4の二項分布に従う。既定の12段なら平均は6番、標準偏差は√3 ≈ 1.73枠。中央の枠の確率はC(12,6)/4096 = 924/4096 ≈ 22.6%で、両端の枠は1/4096なので3,000個落としても平均0.7個しか入らない。
中心極限定理によれば、独立な小さな変化を多数足すとその和は正規分布に近づく。球の最終位置は±½枠の移動n個の和なので、nが大きいほど正規曲線に合っていく。4段では中央の枠が二項0.375、正規近似0.399で6%以上ずれるが、24段では0.1612と0.1629で1%ほどの差になる。
観察1:反発係数と枠の飛び越し
本物のボードでは、球はいつも次の段の隣のピンに素直に落ちるわけではない。強く跳ねると段を飛ばしたり、同じ向きに何段も滑ったりする。すると段ごとの選択が独立でなくなり、分散がn/4からずれる。跳ね返り(反発係数)を0.35から0.7に上げて3,000個落とし直し、「分散」を理論値と比べてみよう。0.1に下げると球はピンに張りつくように1列ずつ下り、理想的な二項分布に近づく。効果の大きさはボードの配置で変わるので、統計欄で実際の値を確かめる。
観察2:ランダムさはどこから来るか
投入の揺らぎを0にすると、すべての球がまったく同じ位置・速度で出発する。それでも分布ができる理由は2つ。ピンに触れるたびにごく小さな横方向の揺らぎが加わること(ピンの頂上で永遠に釣り合うのを防ぐ処理)、そしてピンとの衝突が小さな差を段ごとに増幅するカオス系であることだ。実物では球の表面の傷や空気の流れが同じ役割を果たす。
カイ二乗値の読み方
ツールは期待度数が5以上の枠だけでχ² = Σ(観測 − 期待)²/期待を計算する。球が本当に二項分布に従うなら、χ²はおおむね自由度くらいの値の周りで揺れる。12段・3,000個なら1番から11番の11枠が対象で、総数が決まっている制約が1つあるので自由度は10で、ツールも枠の数から1を引いた10を表示する。自由度10の有意水準5%の臨界値は18.31なので、χ²がそれを大きく超えれば、この設定では五分五分・独立の仮定が合っていないと考えられる。
例
既定設定の期待分布
- 入力
12段、球3,000個- 結果
中央(6番)≈ 677個、5・7番 ≈ 580個、0・12番 ≈ 0.7個
3,000 × 924/4096 = 676.8、3,000 × 792/4096 = 580.1。平均6、分散3。平均の標準誤差は√(3/3000) ≈ 0.03枠なので、測定平均が6.1を超えるならボードの偏りを疑ってよい。
段数と正規近似の精度
- 入力
中央の枠の確率:4段 / 12段 / 24段- 結果
二項 0.375 / 0.226 / 0.161、正規 0.399 / 0.230 / 0.163
正規近似の山の高さは1/(σ√(2π))、σ = √n/2。段数が増えると相対誤差は約6% → 2% → 1%と縮む。
使い方
- ピンの段数と球の数を決める(変えると最初から落とし直す)。
- 跳ね返りと投入の揺らぎを調整し、球がたまる様子を見る。
- 二項分布・正規分布の線と、平均・分散・カイ二乗を理論値と比べる。
- キャンバスを押して好きな位置から球を追加で落とす。
よくある質問
いちばん外側の2つの枠は何?
壁に当たってボードの端から抜けた球を受けるあふれ枠。理想の二項分布にはない枠なので、平均・分散には含めるがカイ二乗からは除く。
中央以外から球を落とすと?
分布の中心がその位置に移る。形は同じ二項分布だが、端に近いとあふれ枠に漏れる球が増える。
ゴルトンはこの装置で何を示そうとした?
『Natural Inheritance』で、身長のような形質が多くの小さな要因の和なら正規分布に従うという考えをこの装置で説明した。同じ本には途中で球を受け止める二段式の装置もあり、親子間の平均への回帰の説明に使われた。
球が多いほど理論と合う?
偶然のばらつきは各枠でおよそ√(期待個数)なので、球が多いほど相対誤差は小さくなる。ただし強い跳ね返りによる枠の飛び越しのような系統的な偏りは消えず、球を増やすとかえってカイ二乗ではっきり現れる。
補足
ピンとの接触には、球がピンの上で止まらないようにごく小さな乱数の揺らぎが入っている。ランダムさの一部はこの処理に由来する。
空気抵抗と速さの上限が入っているため、実際の木製ボードより球は跳ねにくい。
出典
- Francis Galton, Natural Inheritance (1889), galton.org facsimile
- NIST/SEMATECH e-Handbook — Binomial distribution
- NIST/SEMATECH e-Handbook — Chi-square goodness-of-fit test
基準日: